桐箪笥と箪笥金具

始まり・・・
江戸時代に入り、商工業の発達と
大型都市の発生貨幣経済も整い、民衆の生活も向上してくると持ち物も多くなり収納家具が必要となって、葛篭から長持そして箪笥へと移り変わってきました。

ブーム・・・
初期のタンスは四五杯の引出しが多かったが、江戸後期には桐の衣装箪笥が大流行したそうで、
二つ重ねで下は二杯引、上が観音開きで戸には大型の前飾と平金具が付いているのが特徴で、現在の民芸家具金具と同じ蝶番や隅金具が施してある。
この箪笥、実は吉原の花魁が使っていたもので、寝室イコール応接間であるため物入れの道具の箪笥が部屋の飾りとして人に見せるものに変化し、これが一般の家庭にブームを起こしたのでした。

調度品・・・
江戸時代の大名にとって、婚礼は家を断絶させないための重大事。「大名道具」と呼ばれる婚礼家具は塗りや飾り金具に趣向をこらし、こんにちまで立派な家具の代名詞となりました。現代の和風家具の出現です。江戸と京都の金工師を頂点として、各地で飾り金具を作る職人も活躍していました。

火事と喧嘩は江戸の華・・・
火災の多かった当時の大都市では、いざと云うとき大切な物を持ち出さなくてはならないため、小箪笥、帳場箪笥類は火事場で乱雑に扱われても大丈夫なように周囲に帯金具をし鋲で固定した。船箪笥も同様だが、こんにち民芸家具として各地で生産されている物は明治以降これらを真似て金具を付けて作られました。

明治時代中頃・・・
地方では箪笥を嫁入り道具に持っていくことはまだ希だったが、都市では桐箪笥が普及し始め、収納家具として確固たる地位を得るようになっていきます。
そして桐箪笥金具は、錠前鍛冶が作っていた無骨な民芸金具のようなものではなく、大名道具に付けられていたような優美な
「美術工芸金具」にとって変わっていきました。


       小泉和子著 「家具」近藤出版社刊
             「道具が語る生活史」朝日新聞社刊より一部抜粋 


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